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清本リペアのよもやま話~思い出の家具を~

皆さんこんにちは

株式会社清本リペアの更新担当の中西です。

 

~思い出の家具を

 

家具は、生活を便利にする道具であると同時に、家族の思い出が積み重なる存在でもあります。

子どもの頃から使ってきた机、家族で食事を囲んだダイニングテーブル、祖父母から受け継いだタンス、店舗の開業時から使われているカウンターなど、長く使われた家具には特別な価値があります。

傷や色あせが目立ってきたからといって、すぐに処分してしまうのは寂しいものです。

家具修復塗装では、古くなった家具の状態を整え、安全性と美しさを回復させ、再び使用できるようにします

修復の方法は、家具の素材、構造、傷み具合、依頼者の希望によって変わります。

新品のように仕上げる場合もあれば、長年使われた風合いを残しながら、傷んだ部分だけを直す場合もあります。

家具が持つ魅力を理解し、その価値を損なわないように修復することが大切です。

家具全体の構造を確認する

家具の修復では、表面の傷だけでなく、構造の安全性も確認します。

椅子の脚がぐらついている、引き出しが動きにくい、扉が傾いている、天板に反りがあるなど、塗装以外の不具合が発生している場合があります

接合部分が緩んだ家具に、そのまま塗装しても安全には使えません。

椅子であれば、脚や貫と呼ばれる横材の接合部を確認します。必要に応じて一度分解し、古い接着剤を除去してから再接着します。

木材が割れている場合は、接着剤を入れて圧着したり、内側から補強材を加えたりします。

タンスや収納棚では、引き出しの底板や背板が外れていないか、レールや金具が摩耗していないかを確認します。

扉が閉まりにくい場合は、丁番の緩みだけでなく、家具本体のゆがみが原因になっていることもあります。

修復塗装業では、見た目を整えるだけでなく、家具として安心して使用できる状態へ戻す視点が必要です。

古い塗膜を除去する技術

家具を全面的に再塗装する場合、古い塗膜を除去することがあります。

塗膜の状態が良ければ、表面を軽く研磨して新しい塗料を重ねられる場合があります。しかし、塗膜が広範囲に剥がれていたり、何度も塗り重ねられていたりする場合は、古い塗装を除去した方が美しく仕上がります。

塗膜の除去には、サンドペーパー、研磨機、塗膜剥離剤、スクレーパーなどを使用します。

平らな天板は研磨機を使いやすい一方、彫刻や曲面のある家具は手作業が中心になります。

強く削り過ぎると、木材の形が変わったり、突板を削り抜いたりする可能性があります。

特にアンティーク家具では、表面の木材が薄い場合があるため、慎重な作業が必要です。

塗膜剥離剤を使う場合も、木材や接着剤への影響を確認します。薬剤を塗布して塗膜を柔らかくし、少しずつ取り除きます。

作業後は薬剤が残らないように処理し、十分に乾燥させます。

塗装を剥がす作業は、家具を傷つける危険と隣り合わせです。どこまで除去し、どこを残すかを判断する経験が求められます。

天板の輪染みや焦げ跡を直す

ダイニングテーブルやサイドテーブルには、飲み物による輪染み、熱い鍋による白化、たばこや線香による焦げ跡などが発生することがあります☕

白い輪染みは、塗膜内部へ水分が入り込んでいる場合があります。

症状が軽ければ、熱や専用剤を使って水分を抜くことで改善することがあります。塗膜そのものが傷んでいる場合は、表面を研磨し、再塗装します。

焦げ跡は、木材まで深く焼けているかを確認します。

表面だけであれば研磨で取り除けますが、深い場合は焦げた部分を削り、パテや木片で補修します。その後、色と木目を再現します。

天板は広く平らな面であるため、わずかな研磨むらや艶むらが目立ちます。

斜めから光を当てながら、表面の平滑さを確認することが重要です。

また、テーブルは水、熱、食器の摩擦などの影響を受けやすいため、使用環境に適した耐久性のある塗料を選びます。

見た目だけでなく、日常的な使いやすさを考えた仕上げが必要です。

椅子の塗装で気を付ける部分

椅子は、平面だけでなく、脚、背もたれ、肘掛けなど、細い部材や曲面が多い家具です。

塗装時には、塗料が角へたまったり、裏側へ垂れたりしないよう注意します。

一度に厚く塗るのではなく、椅子の向きを変えながら薄く塗り重ねます。

脚の下部は床や靴が触れやすく、傷みやすい場所です。肘掛けや背もたれは、手や身体が触れることで皮脂が付きやすくなります。

場所によって劣化の程度が異なるため、それぞれに合った下地処理を行います。

座面が布や革でできている場合は、塗料が付着しないよう取り外すか、丁寧に養生します。

家具の構造によっては分解できないこともあるため、隙間へ塗料が入り込まないよう慎重に作業します。

椅子は人の身体を支える家具です。

塗装後に接合部へ塗料が入り込み、動きや強度に影響しないようにすることも大切です。

アンティーク家具の風合いを残す修復

古い家具の魅力は、年月によって生まれた色合いや傷、手触りにあります。

そのため、アンティーク家具をすべて削り、新品のように均一な塗装をすると、本来の価値が失われることがあります️

修復前には、どの程度まで直すのかを依頼者と相談します。

機能上問題のある割れやぐらつきは修理しながら、歴史を感じさせる小さな傷や色むらは残すという選択もあります。

古い塗膜をすべて落とさず、表面を洗浄してからワックスやオイルで整える方法もあります。

欠けた部分には、周囲より少し暗めの色を使い、経年変化へなじませます。

金具も新品へ交換するのではなく、使用できる場合は洗浄や調整をして再利用します。

修復とは、必ずしも新しく見せることではありません。

家具が持っている歴史を尊重しながら、これからも使える状態へ整えることが重要です。

用途に合わせた塗料選び

家具の塗装では、使用場所や使い方に合わせて塗料を選びます。

ダイニングテーブルは水や熱、摩擦に強い仕上げが必要です。

収納棚の内部には、においが残りにくい塗料が適しています。子ども用家具では、安全性やお手入れのしやすさも重要です

木の自然な手触りを生かしたい場合は、オイル仕上げが選ばれます。

表面へ強い塗膜をつくりたい場合は、ウレタン塗装などが使われます。

艶の程度によっても印象が変わります。

艶のある仕上げは高級感を出しやすい一方、傷や指紋が目立つことがあります。艶を抑えた仕上げは、落ち着いた自然な雰囲気になります。

家具のデザイン、樹種、設置される部屋の雰囲気などを考え、最適な仕上げを選択します。

修復後のメンテナンスを伝える

美しく修復した家具を長く使うためには、日頃のお手入れが大切です。

強い洗剤やアルコールを使うと、塗膜が変色したり艶が変わったりする場合があります。

水分を長時間放置しない、熱い鍋を直接置かない、直射日光が当たり続ける場所を避けるなど、仕上げに応じた使い方を伝えます。

オイル仕上げの家具は、定期的にメンテナンスオイルを塗ることで乾燥や汚れを防げます。

小さな傷であれば早めに対応することで、大掛かりな修復を避けられることもあります。

職人が修復後のお手入れ方法まで説明することで、家具をより長く使ってもらえます

まとめ

家具修復塗装は、表面を塗り直すだけの仕事ではありません。

家具の構造を確認し、ぐらつきや割れを補修し、傷や変色を整え、用途に合った塗装を行います。

家具ごとに素材、形状、製造方法、使われてきた環境が異なるため、同じ修復方法がそのまま使えるとは限りません。

特に、思い出の家具やアンティーク家具では、きれいにすることと、風合いを残すことのバランスが重要です。

新しい家具へ買い替えることは簡単かもしれません。

しかし、使い慣れた家具を修復し、再び生活の中で使えるようにすることには、交換では得られない価値があります。

家族の思い出や職人の技術が刻まれた家具を、次の世代へつなぐ。

家具修復塗装は、ものを大切に使い続ける暮らしを支える、温かく専門性の高い仕事なのです✨